るかにたぼ

オタクの書き散らし

明治吸血奇譚「月夜叉 紅」 霜月の章 冲方躁 感想

また備忘録の存在を忘れ去ってました。自分用メモって言っておきながら全然活用してないからもう少し活用したい…

 

表題の通り、月夜叉続編の感想です。

正直期待してなかった。

というよりかは私は怒りに満ちていたんですね。

続編が発表された段階で既にリジェのファンやめます

とまで言いたかったほどには怒りに満ちていました。

理由はただ一つ、隼人がいないことなんですけどね。

月夜叉で一番好きな隼人、ぶっちゃけこじらせて夢女子になった隼人、

そんな彼がいないというのは困惑したし残念だったし

憤怒の念が生まれました。

だから正直期待してなかったし買う気もなかったんですよね。

でもまぁ1巻目が躁だし、ここから始まるならどうなるのかくらいは聞いてやろうと思って聞きました。

故にちょっと偏向した感想かもしれないです。

例の通りネタバレ混ぜつつなので続きからどうぞ。

 

 

聞き終えて一番最初に出てきた感想は

「幸せになってくれると思ってたのに!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

褒める前に文句言っておく。

2枚組から1枚組への変更、これはまぁままあるかもしれないから許そう。だがブックレットどうした?

ペラ紙1枚、CD1枚組で値段上げるっていうのは如何なものかと。

中身が良ければいいでしょ?ってことを言いたいのかもしれないけどこれはあまりにも酷すぎる。シチュCD満足度No1を唄うならそういうところも手を抜かず徹底して欲しいです。

ちゃんとその分金払うから…本当に…

 

内容に移ります。

やはり中身は良かったですね。大筋の話の流れがありつつ、前回の躁と主人公の関係性を捉えた話が進んでいきます。

新キャラ(正直これも怒りを買った原因なんだけど)の龍馬属する政府に黎明館を追われ、夜叉狩りの対象から外れる代わりに闇討ちを手伝ってほしいという申し出を受けた幻斗。

幻斗さんが言うなら、とついてきた躁な訳ですが、こういうところは意外と人らしいんだよなーと感じる部分です。義理堅いというか。

みんな集まって仕事をするのかと思いきや主人公は別の宿に下宿させられ、それぞれ単独に殺しを行わされる日々。

ある日主人公にようやく会いに行けた躁から話が始まります。

「一緒に暮らせると思ったのに」っていう躁の台詞から無印であんなことをしでかしたしあんな終わり方をした割に普通の恋人同士みたいな会話してるのがなんか面白い。

というか、話は割とシリアスなんだけど前述の通り大きな物語の始まりを感じさせながらも一応続編という扱いなのでちゃんと恋人らしいんですよね。

この後のシーンで2人で散歩しながら甘いものが食べたいと躁がぼやき、食べたことのない八つ橋を買ってみて2人で食べるというものがありますがかなり距離は近いし雰囲気が甘いです。こういうの結構あった。

 

閑話休題して、私が怒り狂っていた隼人に関する話。

主人公と躁の会話の中で「隼人から文がきた」と話してるところがあります。

つまり隼人は死んだとかそういうことでなくて単純に京には来なかったと考えていいみたい。

よく考えれば龍馬は政府の犬(躁曰く)だからそりゃ人間、特に警察などの政府絡みの人を死ぬほど嫌っている隼人が京に来る訳ないよな、となりました。

どこにいると明確に言わなかったからまだ北海道なのかな?もしくは八城組の跡地で暮らしてるのかもしれない、などと妄想が膨らむのですがRejetさんこれスピンオフで製品化しません?(しません)

あともう1個驚いたのは犬猿の仲であるはずの躁に隼人が文を送ったという事実。

おそらく話ぶりから察するに全員に文が来ているのだと思うんですがあれだけ警察を憎んで躁が警察にいたことを詰っていた隼人が元気にしてることをわざわざ文にしたためたのかと思うとやはり隼人は隼人なんだなと感じました。

どんなに嫌っていても一時は同じ館で暮らした存在が不全であるのは本意ではないんでしょう…………ほんと優しい………………好き………………

 

本題に戻って、闇討ちに不審なところを感じる躁。どうやら殺してきた何人かのうちに同族である夜叉がいたようで。

龍馬は殺した相手の首を必ず持ち帰るように命じているらしく、それは力の強い夜叉を殺す時に首を落とせば如何に強くとも死ぬだろうということなのではないだろうか、という推測をたててました。

当たらずとも遠からずみたいな反応だったみたいで、躁はそこからまた探りを入れていきます。

で、さっきの2人で散歩のシーン。シリアスと甘いシーンの温度差に思わず砂糖吐きそうになった。

遠方地の殺しをせずに主人公と遊んでいた挙句、禁止されていた主人公の血を吸った躁は龍馬に怒られると思いながらも帰宅、しかしお咎めなし。

翌日彼女にあうと頬に殴打のアザがありました。

龍馬は躁ではなく彼女に話を聞き、口を割らなかったために体罰に出たことを知ります。

躁は「ただ女を虐めて楽しむ性癖なのかもしれないけど」みたいなこと言ってて笑いました。確かに龍馬はそれっぽい。

ここで龍馬にぶたれたことに対して最初「どうしたの」って驚いていたんだけどすぐ普通のトーンに戻って「俺を従わせるには外堀を埋めた方が良いってわかってるんだ」って言ったけど最後耳元でつぶやいた「龍馬と話をした方が良さそうだね」に怒りが滲んでいて本当にこの人は隠しきれない感情を聞かせるのが上手いな〜と思いました。

基本は飄々としている躁ですが無印でのことを踏まえて主人公にはかなり甘いんですよね。龍馬を翻弄する場面と主人公をからかう場面の声のトーンの変わりようと言ったら本当に器用としか言いようがないし最高です。

龍馬と話をつけた躁、どうやら躁が罹患している夜叉にだけかかる不治の病の治し方を龍馬に聞いた様子。

それは「より多くの様々な血を吸うこと」。

龍馬の言う事を鵜呑みにするのも馬鹿らしい、でも病気が治る可能性があるならかけてみたい、と語る躁は前作からは考えられないくらいポジティブ。

立花さんもフリトで言ってましたけど今回の躁、結構ポジティブに物事を捉えてる。隣に主人公がいるからですかね。

「この病が治ればあんたともっと長く一緒にいられる」

この台詞は本当に嬉しそうに言うもんだから思わず涙目になりましたよあたしゃ………今まで躁の幸せいっぱいの嬉しい声を聞いた覚えがなくて、躁ってこんな声で喜ぶんだ、って驚いたと同時に人間らしさが見えたかなと思います。

戦いの中での半狂乱の高笑いも勿論嬉しい笑いではあると思うけどそれよりももっと原始的で単純な喜びが今まで躁にはなかったんだと思うと心の底から主人公と一緒にいたいと思ってることがわかって、立花さんの表現力がとてつもないことが身に染みてわかる………

病を治そうと躍起になって京の人間をどんどん殺して血を吸っていく躁ですが、龍馬はそれを知ってか知らずか何も言いません。

そしてついに躁の口から一月も咳が出ていないことを知らされます。

「こんなに調子が良いのは初めてかもしれない」と話す躁はこんな捻くれる前の本来の姿なのかなって思うくらいに無邪気に病気が治ることを喜んでいてまた胸が痛い。

しかし喜びは長く続かないのがこの作品で、2人でいるところを政府に囲まれてしまいます。

夜叉狩りの対象から外れるはずなのに何故、と問えば躁が殺した京の人間に要人がいたようで。

そんなこと知ったことじゃないという躁、更に「あんた達がちゃんと守るべきだったんじゃないの?」と笑いながら煽る始末。

でもここの煽りはいつものキレがない感じがしました。敵に囲まれた状況、しかも主人公が一緒にいるからかなとか思いましたけどどうでしょうね…そんなことで肝が縮むようなキャラじゃなかったような気もするけど。

というか、ここから怒涛の展開すぎて正直心が全く追いつきませんでした。聞いてる分には何が起きて、どうなって、というのは分かるんですけど頭が理解するのと心が理解できるのとはまた別物だと思うんですね。

大ピンチに陥る躁ですが、主人公への約束を胸になんとか2人で逃げることに成功します。

ここで言う「…射撃ってのは、こうするんだよ!」がめちゃくちゃかっこよくて改めて惚れ直します………苦しそうに起き上がって敵に連れていかれそうになる彼女を見据えてのコレですよ…………そりゃ惚れるでしょ…………………

どうにか彼女と一緒に逃げるも増援に追いつかれ、耳打ちします。

「死ぬ時は一緒って、約束したでしょ」

激しい銃声。そして終わる2人の人生。

 

みたいな感じで終わると思ってたんですよ!!!!!!!!!!!!!!!(冒頭の叫びに戻る)

というか、本気でこれで終わってくれて良かったんですよ私的には。だってメリバだけど幸せだから…躁も主人公も約束を守って2人で死ぬってなるのが2人で幸せになるということで最高の形だと前作から聞いてる分には思えたので…

躁の言いぶりから察するに主人公と一緒に少しでも長く過ごしたい、生きたいって思ってるのは勿論本心だと思うんです。だけど捻くれてしまった当初の言葉である「俺と一緒に死んでくれる?」は捨てられなかったのかな、と思います。じゃなきゃ銃声直前の声があんなに安らかなはずがない………何度聞いても満足げに聞こえるしとても満ち足りた声音をしています……………立花さんほんと上手すぎません?何を聞いて生きてきたらこんな芝居になるんだ………………

 

物語は終わらず、躁は生き残ります。冷たくなった彼女を抱えてふらふらと屋敷に戻る、というモノローグはあまりにも空っぽすぎて心が死ぬほど削れました。聞いていた時間が夜中の2時とかだったのも相まって気分はどん底でしたよ……

龍馬に事の顛末を聞き、自分の病が夜叉として覚醒するために必要な通過儀礼であったことを知らされます。覚醒した夜叉は瞳の色が左右で異なり、更に不老不死になるとか。

彼女と共に生きられない、彼女と共に死ぬこともできない。

亡骸を抱えて絶望する躁ですが、それなら、と再び笑います。生きるために血が必要なら、吸い殺し続けようと。

「せめて彼女があの世で寂しくないように」

 

という感じで、謎が残りつつ躁の話は終わってしまいました。

もしかしてジャケ絵の躁がウィンクしてるのって覚醒後の姿だからなのかなぁなんて思いました。ジャケ絵発表の時にこんなおちゃめなことするキャラだったか…?!と戦慄した覚えがあるんですがこれなら自分の中で納得がいく…

にしても本当に今回こそは幸せになってくれると信じていたしむしろ先述したところで終わってくれて良かったんだよ…!!と聞き終わったあとに何度も怒りと悲しみと綯い交ぜになった気持ちでおりました。

勿論これはこれで話としてはよく出来ているし、すごく面白かったです。1枚組になったのでシナリオ面のボリューム不足を心配していたんですが全然感じない出来具合でしたね…流石にシチュCD満足度No1を名乗るだけはあると思います。

特典の話しようと思ったんですが片方しか手に入れてない上にタワレコ特典「月夜叉超甘味」の方なので書く事ほんとにないんですよ。

マジで主人公と躁がいちゃいちゃしてるだけなので………本編聞き終わった後の私はこれでだいぶ救われたんだけどね………………………

メイト特典面白いらしいので手に入ったら追記するかも。

 

次回は感応時間12の感想を書く予定…

これ書くのに大体5日かけてるのほんと馬鹿としか言えない……………………

11月発売分第2弾がきてしまったよ………………………………